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あさのさつこ「てんにょどうらく」

講談社文庫から出ている、小説現代編の『10分間の官能小説集』で読みました。

『小説現代』掲載の作品なら比較的ソフトなのかもしれません。

BOOKOFFで手に取って、購入してみましたが、女性作家の作品から読み始めたのは、

もちろん、自分の中のあさましい気持ちがそうさせたのでしょう。

ところで、この「てんにょどうらく」。

なかなかよく出来た作品で、大変面白かったです。

時代物の官能小説。


橘町の太物問屋・七宝屋の手代である伊蔵は、町角でしみだらけの老人に呼び止められる。

老人は伊蔵に二朱で「てんにょどうらく」をしないか、と持ちかける。

「てんにょどうらく」とは、一番欲しい女を一番望むやり方で抱く、というもので、うつつの女のことなどきれいな忘れられるという。

伊蔵は、奉公する七宝屋の娘・お松に恋い焦がれていたが、先日、お松にその想いを笑い者にされて踏みにじられたところ。

伊蔵は思い切って、「てんにょどうらく」を買うことにする。

老人の後について路地の奥のしもたやに入り込んだ伊蔵は、そこに緋縮緬の襦袢姿で横たわり、荒縄で縛られたお松を見た。。。


というお話。



『バッテリー』など、児童文学を書く女性作家が、どんなエロい小説を書くんだろう?

というあざとい興味本位で読んだのが正直なところ。


設定は、谷崎潤一郎の『春琴抄』のような設定、春琴と佐助がお松と伊蔵に重ねられているのではないだろうか。

もしかしたら、お松という名前も谷崎を意識してのことかもしれない。

春琴と佐助の崇高な愛に比べて、こちらは残酷なエロスに向かってゆく。

しかし、むしろ、こちらの設定の方が多くの男性の共感を得るかもしれない。

こんな風に女性に足蹴にされた経験のある人の方が多いと思うから。

伊蔵は、サディスティックに(SMではない)お松を蹂躙して復讐をしてゆく。

嫌がるお松は、とても恥ずかしい姿で、見下していた伊蔵の辱めを受ける。ここが圧巻。

あさのあつこの頭の中では、こんないやらしいことも考えつくのか(笑)。


お松の股を左右に開かせ、桃の花の色よりやや薄い陰(ほと)が口を開けていたのを見た伊蔵が、

「……これをずっと拝みたかったんだ」

というところなんかは秀逸。

男の心理をよくわかっているなあ、と。



「てんにょどうらく」とひらがなで表記されるが、漢字で「天女道楽」と書くよりも、

なぜかひらがなで書いた方がいやらしい感じがするのは、発見。

ひらがなって実は、いやらしいんだな。笑


自分がもし「てんにょどうらく」を買うとしたら、どの女を抱くのだろう?

そう思って読むのが一番いいでしょう。

二朱ですから、今のお金に直すと5千円から5万円の間くらいか。

まあ、妥当な金額。

むしろ天女を抱けるのなら、安いくらい。笑

僕なら。。。あの女性(ひと)を。。。笑


ただ、惜しむらくは、最後のところで、お松も病か何かで死んでいた方がよかったかなと思います。

その方が、「てんにょどうらく」の幻想性が浮き立ち、もしかしたら本当にお松を抱いていた可能性も出てきて、

よりすばらしいものになっていたことでしょう。


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